ハートのL5その後

かの “ハートのL5” については「ウエモン」のコーナーでも驚くような記事として掲載したのですが、ジャズ評論家でお馴染みの成田正氏から更に興味津津かつ詳細な情報を戴いた。
その情報源は成田氏と親交の深い、現在NYで活躍中のギタリスト高内春彦氏であり「ウェスのファンに少しでも役立つなら自由に使ってもらって構いません」と、当サイトへの掲載も快く承諾していただきました。
実は、高内氏から承諾を戴く前に成田氏がいてもたっても黙ってられずウェス・ファン倶楽部に、つい漏らしてしまった (笑い) ということから、結果として無理にお願いしたという訳なんですが、でも本当にウェス・ファン冥利に尽きます。
貴重な情報ありがとうございました。
〈以下情報提供:成田正氏〉
●高内氏から成田氏に寄せられた情報、パート1:
ウェス・フリークのハルさん(高内春彦氏)から、以下のようなメールが届きました。
「ニュースなのですが、以前お話したウェス本人の火事にあったギブソンL5、ハートのやつです。
発火点の低いナイトロセルロースのフィニッシュのみが燃えたのみで他のパーツはほとんど大丈夫だったそうで、ギブソンのカスタム・ショップがリペアをしてほぼ完璧に当時の姿をとり戻したそうです。
それがなんとNYのスタッテン島にある “マンドリン・ブラザーズ” に今売りに出ています!!
シリアルナンバーは “#62876” です。
店には出してませんがプレスリーやJ・レノンのギターとともに社長の部屋にあるようです。
値段はわかりません、というか聞きたくないです。社長のスタンにみせて欲しいと頼んでいますが、なかなか日どりが合わなくてまだ行ってません。お知らせでした。」
というもので “マンドリン・ブラザーズ” とはオールドとヴィンテージものにかけては信頼と定評の高いギター・ショップの名前です。
●高内氏から成田氏に寄せられた情報、パート2:
「今日、社長のスタンに電話をかけると弾いてほしいので是非来て下さいと言われ行ってきました。
サウス・フェリー(今はスタテン・アイランド・フェリーという名称になってます)に乗りスタテン島に着きフォレスト・アヴェニューを行く “#48” というバスに乗り換え10分、 “マンドリン・ブラザーズ” があります。
ギターの状態はすばらしく、驚くべき美しさの上にやはりあの貝のハートに “Wes Montgomery” と縦に刻まれた文字がやっぱり本物なんだと溜め息をつかせます。
縦に描く書き方はちょっと東洋を意識した書き方でもあります。
フィニッシュから透けて火事で少し燃えかかった跡がサイドやトップの極一部に見られます。
とくにネック、フレット、テイルピースなどはオリジナルなので本人が弾いていたときの感じがつかめます。そのフレットの減り方でもわかった事がありました。
ブリッジはオリジナル(金属)ではなく木でできているものが付いています。
ギター造りの人には金属のブリッジにしたほうが音が丸くて太い事を知らない人が多いです。
もともとは当時のギブソンがアコースティックのL5Cに穴をあけてハンバッカーをマウントしたギターなのでエレクトリックのものよりもトップが薄く、ネックにはフローティングのピック・アップを付けるための穴が2個あります。
ウェスのギターは軽くて弾きやすく、何といってもこれが誰のギターという事と関係なく音が良いのでびっくりしました。
こんないいギターがあったら何でも演れると、勘違いでしょうがそう思ってしまいます。
先日ジョージ・ベンソン先生が来てオファーがあったようですが、現在オファーが来ている中でほぼ決まりそうな人がいるそうです。
カリフォルニアに住んでいるレコード・プロデューサでギタリストだそうですが、ジャズではないようです。
できたらジャズを演る人のとこにいってくれれば・・とスタンが言ってました。
ベンソン先生のオファーはそれより大分下回ってしまったようです。
来週にでも決まってしまう可能性はあると言っていました。」
成田氏は高内氏から電話を通して社長のスタンを紹介していただいたそうですが、成田氏がマンハッタンに出向く日程が今秋であり、その頃には恐らくギターはその社長の手元から離れており、お目にかかれないでしょうと残念がっておられました。
そのことは私としても同様の気持ちなんです。というのも、もしもの話しなんですが、成田氏がこの “ハートのL5” に出会えていたなら恐らく日本人として初めてウェスの2台名器、つまり “ダイアのL5” とともに手中感触を得た体験者となり、そのレポートも戴けたということなんですが少し欲張り過ぎですか・・ね。
●高内氏から成田氏に寄せられた情報、パート3:
成田氏に今までの情報に加え少し質問させていただいた事に対し、更に答えていただきました。
Q. “ハートのL5” はオークションにかけられたのですか?
A. “マンドリン・ブラザーズ” は「売り」に出したのでなく、宣伝も兼ねサイトに掲示した。
「さあ、どうだ!!」と言わんばかりに。
事実 “ハートのL5” は社長室にあり、物見遊山の客の目に触れなかった。
とはいえ、ハルさんによると、サイトのトップ・ページに載せる意図は、ほぼ、オークションのスタートを示唆しているのが常だそうです。
ただし、ハルさんはジョージ・ベンソンをはじめ、重要かつ親しい仲間には連絡を入れていたそうで、ベンソンのほか、何人もが手に取り弾いていったといっていました。
Q.貧乏人の悲しさですぐに知りたがるのですが、一体いくらだったのでしょう?
A.最大の関心事の落札価格は、先のメールに付記しませんでしたが、ハルさんによると20万ドルを
ちょっと上回る価格のようです。
Q.どなたが手中にされたのですか?
A.落札した憎き?(愛すべき?)ヤツは、カリフォルニア在住のレコード・プロデューサーでギタリ
ストだそうです。誰なんでしょうね?
Q.確か “ウエモン” のコーナーで紹介した記事ではインディアナポリスの “メリディアン・ミュー
ジック” がこのギターを所有していたと思ったのですが、どのように譲渡されたのでしょう?
A.疑問点は、ギブソンのカスタム・ショップがリペアしてから、かなり時間が経ってますよね。
どういう流れでマンドリン・ブラザーズに辿り着いたのか? たぶん、闇のオークションかと?
本当に金持ちであったなら、私も喉から手が出るほど欲しくてオファーしていたでしょう、なんて
いっちゃって・・寂しい・・。
